ハイビスカスについて

ハイビスカスについて

ハイビスカスの名前の由来は?

ハイビスカスの名前の由来は、エジプトの美の神とされる「hibis(ヒビスもしくはイビス)」と、ギリシャ語で「似る」という意味の「isko」とを合わせて「hibiscus」になったという俗説があります。

ただしエジプトの神話には「hibis」という名の神は存在せず、この説の根拠にはやや疑問が残ります。

一方、ハイビスカスとはもともと古代ギリシャ語で「タチアオイ」の花を意味する「ibiscos」が、ラテン語に翻訳される過程で「hibiscos」となったとする説もあります。

タチアオイとハイビスカスとは、同じ属ではありますが別の花です。18世紀になってヨーロッパにさまざまな品種の花が持ち込まれるようになった段階で、著名な植物学者であるリンネが、品種は異なるものの見た目が似ている両者を同じものだと勘違いした結果、この名で呼ばれるようになったと言われています。

日本では

和名として「仏桑花」「扶桑花」「仏桑華」と書き、「ブッソウゲ」と呼ばれていました。

この「ブッソウゲ」とは、古代中国の伝説で東方の果てにあるという生命を司る神木「扶桑樹(フソウジュ)」がつけた花「扶桑花(フソウカ)」が由来となっているようです。

沖縄では

呼び名である「赤花(アカバナー)」は見た目のとおりですが、「後生花(グソーバナ)は沖縄で「あの世」を意味する「後生(グソー)」から採られており、亡くなった方の幸せを願って植えられる花となっています。

ヒンドゥー教におけるガネーシャへのハイビスカスの供花

ハイビスカスの花とその象徴

ハイビスカス(ヒンディー語で「ジャバ・プーシャ」とも呼ばれる)は、ヒンドゥー教の儀式や礼拝において非常に重要な役割を果たす花の一つです。

その色鮮やかな赤やピンクの花びらは、特に霊的な象徴として強調されます。以下のような深い意味があります。

力とエネルギーの象徴

ハイビスカスの赤色は、「シャクティ(Shakti)」と呼ばれる神聖な女性の力を象徴しています。

このシャクティは宇宙の創造、維持、そして破壊を担う力であり、ガネーシャはこのシャクティの具現化として崇拝されます。

そのため、赤色のハイビスカスはガネーシャの力とエネルギーを象徴するのにふさわしい花とされています。

知恵と純粋さの象徴

ハイビスカスの花は、純粋で無垢な心を持つ者が神に捧げることができるという考え方があります。

ガネーシャは「知恵と知識の神」として知られており、純粋な心で祈りを捧げることが、神の祝福を受けるために重要とされています。

ハイビスカスはその純粋さを象徴しています。

 ガネーシャとの神話的な関係

ガネーシャへのハイビスカスの供花には、インドの神話や伝説とも深い関係があります。

パールヴァティとの関係

ガネーシャは、女神パールヴァティとシヴァ神の息子として知られています。

パールヴァティは母性、慈愛、そして女性の力を象徴する神であり、ハイビスカスは彼女に関連づけられることが多いです。

ガネーシャにハイビスカスを捧げることは、母なる女神への敬意を表す行為でもあります。

ガネーシャとアクシャタ(Akshata)

ヒンドゥー教の儀式では、「アクシャタ」と呼ばれる米やハイビスカスの花を神に捧げることがあります。

アクシャタは「不滅のもの」を意味し、ガネーシャの不滅の知恵と力を象徴しています。

特にハイビスカスは、このアクシャタとともに供えられることで、ガネーシャの祝福を受けるための重要な要素となります。

精神的な意味と実践

ヒンドゥー教の実践者にとって、ガネーシャへのハイビスカスの供花は、特定の願いや目的を達成するための手段としても用いられます。

障害を取り除く

ガネーシャは「ヴィナーヤカ(Vighnaharta)」とも呼ばれ、障害を取り除く者として広く崇拝されています。

赤いハイビスカスを捧げることで、人生の困難や障害を克服し、新しい道を開く力を授かると信じられています。

霊的な浄化

ハイビスカスは、その鮮やかな色と形状から、邪気を払う力があると考えられています。

ガネーシャに捧げることで、個人の心や環境が浄化され、ポジティブなエネルギーがもたらされるとされています。

 まとめ

ハイビスカスの花をガネーシャに捧げる行為は、単なる習慣ではなく、深い宗教的、精神的な意味を持っています。

それは、ガネーシャの持つ力、知恵、そして母なる女神パールヴァティへの敬意を表し、また、信仰者にとっては霊的な浄化や障害の克服を願う手段となっています。

これらの伝統と信仰は、インドの文化とヒンドゥー教の教義に深く根ざしており、何世代にもわたって受け継がれています。